中村隆文『世界がわかる比較思想史入門』から作る補助教材の試み

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  • 中村隆文『世界がわかる比較思想史入門』(筑摩書房,2021)は、タイトルから想像していたのとは異なり、宗教思想と東洋思想、西洋哲学・現代思想などとを全部等価に並列的に概説する本であった。それを一冊の新書に入れたのだから、だいぶ駆け足の内容になっている。なので、この書を有効活用するためには、自分で用語集を作るしかない、と私は感じた。そういうわけで、以下用語集を作っている。また、この書の中の一節だけでも入門書が一冊できあがる内容だろう。なのでこの書は典型的な「入門書に入門するための書」であると思う。
  • この書は中高生の社会科学習の補助に有益かもしれない。社会科学習の延長になるように配慮している本である。また、中高~大学初年度くらいの期間に、古今の思想の本格的な解説書とは別に、それらを横断的に扱っている評論文などを読まないといけなくなる場合が在る。たとえば、高校生が人文系の学部を志望し、その志望校を具体的に決める際に、さまざまな情報を書籍やネットから獲得し読む場合などだ。そういうときに中村のこの書から抽出したこの用語集は役立つだろう。
  • 私の認識では中村はどちらかと言えば英米系を中心とした議論型の哲学の専門家であった。そういう仕事をしながら、それとは全然別である、これだけ広範囲の思想関連書を水準以上の読み方で読むことができていることが驚きであった。ただしこの書では思想の「比較」が占める割合が特に高いわけではない。そのためには、この書に書かれている絞った内容を手がかりにして、原典や他入門書に手を伸ばすことが必要になるだろうし、思想の「比較」がその中で行なわれることになるだろう。