二度目以降のアクセスの場合、リロードを推奨します。参考:ホームページを更新したのに「内容が変わっていない!」を解消するスーパーリロードとは
大学院履修経験者の書いた本を読む。そのとき「ほんとうにそうか?」という問いをいつでも発動できるようにしておきながら読む。
「ほんとうにそうなのか?―というのも、自分の知っているケースには当てはまらないのだが。」「ほんとうにそうなのか?―というのも、そうではないケースが簡単に想定できるのだが。」など反例を思い浮かべる。自分が反例になるか考えてみる。
「ほんとうにそうなのか?―というのも、そうだとするとAという結果になっている理由がわからないのだが。」主張から帰結しないような結果になっている場合を想定してみる。自分の周囲などで起こっていることをその結果であると假定してみて、主張がその結果の理由になりうるかどうかを検討してみる。
「ほんとうにそうなのか?―というのも他の箇所で著者が言っている事柄とつじつまが合わないのではないか?」著者自身の複数の主張を突き合わせて整合するかどうか、両立するかどうか、を検討してみる。あるいは、他の著者や身の周りの人の言っている事柄と両立するかどうか比較検討してみる。
「ほんとうにそうなのか?」という以前に「何が書いてあるかわからない」という場合への対処はケースバイケースになる。著者の責任である場合も在れば読者の力不足のせいである場合も在るし、たんに相性が悪い場合も在る。その箇所は保留しておいた方が良いかもしれない。
「ほんとうにそうだというのは、まあいい。で、だから何?」という感情が起こるときは、検討してみる。「なぜそんなことを主張するのかがわからない」「そんなことを主張する目的や意義がわからない」というときは、そのわからないという感覚を言葉にしてみる。
「ほんとうにそうなのか?」という疑問を特に感じない場合は、次の項に進む。
大学院履修経験者の書いた本を読んでいて驚きを感じる箇所が在るかもしれない。「Bである。」これに対して「Bであることに特に疑いは無い。で、なぜそう言えるのだろう?」という感じ方をする場合は、この驚きを言葉にしてみる。
「普通に考えるとAになると思える。しかし実際にはBだ。Bであることに特に疑いは無い。しかし意外だ。なぜBになるのだろう?なぜBになると言えるのだろう?」とこのように考えると良いかもしれない。「なぜBになるのか?」と問うと、高校生には手に負えない場合がほとんどだろう。なので、「なぜBになると言えるのか?」と問い直すことで、少し手に負える形にしてみるのだ。この形だと自分に引き付けて考えることがしやすくなると思えるのだ。
この「なぜ」にはさまざまな事柄が在りうる。原因や因果関係、メカニズムや構造、根拠や真理、定義、背景や経緯、いろいろ在る。「すべての事柄に共通する汎用性の高い原因」だったりすれば「なるほど!」と思えることも在るかもしれないし「当たり前じゃないか!」としか思えないことも在る。背景や経緯の場合、「あれがこうなって、だからそうなって、だからこうなってああなってそうなった」みたいな説明になる。説明になっていないように思えるかも知れないが、こういう細かい事実関係を解明するのも学問の仕事である。たとえば「高校までの歴史科」などはこういうふうな説明になっていることだろう。
「普通に考えるとAになると思える。しかし実際にはBだ。」というふうに「普通」と引き比べておくことは重要だ。というのも、「なぜBなのだろう?」に対する研究結果を世の中に発表して良い理由を与えるのが、この「普通とのギャップ」だからである。
学問の場合、「なぜその研究発表をするのか?」の答として「新発見だからです。」というだけでは理由として弱い、と受け取られることが在る。「新発見であることは当たり前の前提であり、新発見でない学問的発表など許されない」というわけだ。そのとき、それに加えて「で、しかも普通から予想される結果と違うんです」となれば、その意外性自体が研究発表の理由になる。だから、この「普通に考えるとAになると思える」という事項を研究者が事前に考えておくことは重要である。高校生が研究者の書いたものを受け取るときにも、その点を理解しておくのが良い。
問題はこの「普通」である。「普通の高校生の普通」と大学院修了者のしかも特定分野の専門家の考える「普通」とは大いに違っていることが多い。しかし、高校生のうちに「研究者の考える普通」を想定することは無理が在るので、ともかく「普通の高校生の考える普通」で構わない。というか、それしか可能ではない。ただし「高校生の考える普通」が何かの「事実」の主張に基づいている場合は、その「その事実はほんとうに事実か」と検討することが可能かもしれない。
「なぜBになると言えるのか?」の理由は「これこれの理由でBになるから。」であり、「Bになるとなぜ発表して良いのか」の理由は「ふつうに考えたらAになるはずなので、意外性が在るから。」である。この二つは混同しないこと。