コメント:早尾貴紀『国ってなんだろう?: あなたと考えたい「私と国」の関係

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早尾貴紀『国ってなんだろう?: あなたと考えたい「私と国」の関係』(平凡社)

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  • 「国民国家」というテーマについての著書である。書かれている内容を知らないという人にならためになる。適度に意外性のある事柄を随所で述べている。
  • 小熊英二『決定版 日本という国』とどこか似た点が在り、立て続けに読むと、どちらの本に書かれていたのか混線する面も在る。戊辰戦争に関する話題はこちらの早尾の著作のほうだったことは覚えている。在日朝鮮人の話題にも紙面を割いていた(が、小熊の著書にもやはりその点への言及が在った。混線するのはその辺が原因かもしれない)。
  • この書は、或る種の人文書愛読者層には常識なのだろう事柄を、初心者向きに書いてくれており、私としては助かる。つまり、「ちょうどそのあたりの知識が不足してたんだよね」的な話題が多かった。覚えているうちにメモ的に書いておく。まず、ユダヤ人やパレスチナやイスラム国について知るのにはきっと良いし、湾岸戦争やイラク戦争についても知らない人は知ったほうが良いという内容が記載されていた。一方、原子力発電というものは潜在的な核兵器所有である、という論点も、大まかには賛同できるし、もし知らない人は知っていて良い論点だ。この本によると石油産出国までもが原発を持ちたがるなど、事態は思ったよりもあからさまであるようだ。
  • 百田尚樹の名前を一切出すことなく、原作が百田である映画に言及していた。映画そのものへの評価をほぼ下さず、一応念のために「特攻を賛美しないでくださいね」的な注意を軽く促すために(のみ)書いたのだろうか。言及意図がよくわからなかったが、たぶんそうだろう。私のように百田をほとんど知らない者は、知らないまま通り過ぎてしまいそうな書き方だった。
  • 本書の最後のほうに出てくる著者の積極的な主張・持論には、まだ十分賛成できるには至っていない。おそらく、私のほうが「すでに日本は米国に占領されまくっているよ」「今さら国境も何も無いよ」と思っているからだろう。
  • 併読して損がない、共通する方向性をもつ本に、木村朗・高橋博子『核の戦後史:Q&Aで学ぶ原爆・原発・被ばくの真実』(創元社)(amazon)、有馬哲夫『原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史』(新潮社)(amazon)は挙げておきたい。