コメント:加藤重広・吉田朋彦『日本語を知るための51題』

加藤重広・吉田朋彦『日本語を知るための51題』(研究社)

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  • この本が役立つのは、まずは日本語を人に教える立場の人、つぎに自分の日本語を推敲して磨き上げようという人である。あとは知的パズルとして楽しみたい人にもお勧めだ。
  • 使われている用語は、学校文法や古典文法の用語系が多いように見える。たいがいの読者にはそのほうがとりつきやすいだろう。一方、参照している文献はいわゆる日本語教育学の文献(寺村文法など)なども多く、学校文法を著者たちが絶対視しているわけではないことは推察がつく。
  • 言語学者が書いた日本語現象についての著作であり、ここ十年強でこの種の本はすごく増えた気がする。昔は言語学者の書く書籍の多くは外国語の参考書みたいだった。では日本語について書くのはというと、言語学者ではあまりなく、国語学か日本語学・日本語教育学の学者・教師であることが多かった。ところが最近はこぞって言語学者が日本語について学術的に書くようになった。その比較的最近の書籍群のなかでも良いできの一つだろう。で、言語学の専攻者は高校までの英語の教師にはなれても国語の教師にはなれないので(外国人に日本語を教える教師にはなれるかもしれない)、ここに書かれている知見は、国語教師から教わる可能性の低いものだ。「日本語のこういう考察のしかたがあったのだ」と驚く高校生もいると思う。国語という教科から体系的に排除されている「日本語論」「日本語についての理説」がいろいろと詰まっている。「発見がある」「鋭い観察がなされている」と感じる読者は、たぶん多い。
  • 酒井聡樹『これからレポート・卒論を書く若者のために 第2版』の第4部も文章に対するこだわりが強い本であり、かつ実用的なので、この書とからめて読むのも良い。
  • 他にもさがせばこの種の良い本はまだ在るとは思うが、少なくともこの著作は確かに良い本だ。あとは、関心に従って、少し細かい話題別に日本語関係の入門書・専門書を見比べるのも良い。