コメント:益岡隆志・田窪行則『基礎日本語文法 改訂版』(くろしお出版)・益岡隆志『24週日本語文法ツアー』(くろしお出版)

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益岡隆志・田窪行則『基礎日本語文法 改訂版』(くろしお出版)

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    益岡隆志『24週日本語文法ツアー』(くろしお出版)

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    この2冊は、高校生に推薦する書籍というよりは、高校生に推薦する書籍が並んでいる本棚に置いてほしい書籍、というふうに意図している。ここに書かれている内容が高校生の関心にダイレクトに応えることはあまり無いと思うからだ。「帯に短したすきに長し」なのだ。ただ、この分野のもっともオーソドックスな定番書であり、これを踏まえておいたほうが、他書に手を伸ばしやすい。でもそうは言っても、高校生のなかには日本語の文法に関心のあるかたもいるかもしれなくて、その場合は役立つのではないか、と思うかもしれない。だが、その点にも私は懐疑的である。日本語の文法に関心のある高校生の期待に応える箇所はさほど多いとは言えない書だろう。これはこの書が悪いのではなく、もっと専門的な書に手を伸ばすべきだということを帰結している。なので、その入口にはなる。また、多くの読者はこの書の前に原沢伊都夫『日本人のための日本語文法入門』(講談社)で全体像をつかんでからのほうが、この2冊を読む気になれると思う。その意味で、コンパクトな入門書ほど全体像がつかめなくて、また専門的な書ほどには知的好奇心に応えることが少ないので、「帯に短くたすきに長し」になってしまう。しかしそれは長所でもある。その点が在るために、この書は、どこの書棚にも気楽に置くことができる。まわりの書籍にまぎれてしまうことも無いし、「こんなに大量に読めないよ」という圧倒感を与えることも無い。ちょうど良いサイズなのだ。そして、この書の系統の書は書店ではほとんど見ないだろう。知られていない分野なのだ。そのアナウンスにもなる。